一般廃プラスチックの油化における塩素除去および昇華性物質の分解
(担当教員:助教 角田雄亮

 プラスチックの原料である石油は可採年数が約40年と枯渇が危惧されている。そこで、石油消費を抑制するため貴重な炭化水素資源であるプラスチックを熱分解によって油化し、燃料や化学製品の原料となる軽質油を得ることが望ましい。
 一般廃プラスチックには、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレンが主に含まれており、これらを400〜500℃で熱分解すると軽質油が得られる。ただし、ポリ塩化ビニルが混入することで熱分解時に塩化水素が発生し、装置腐食の原因となる。そのため、現在は前処理(約300℃)において塩素を除去している。しかし、近年ポリエチレンテレフタレート(PET)の混入割合の増加により、前処理においてPETの分解物と塩化水素が反応して有機塩素化合物を生成する。そのため、軽質油に塩素が残存することが問題となっている。さらに、熱分解後の気体の冷却時にPETの分解により生成するテレフタル酸(TPA)が析出することから、装置の閉塞が問題となっている。
 そこで当研究室では、前処理における有機塩素化合物からの塩素除去と熱分解におけるTPAの分解を同一の触媒で解決するための検討を行っている。






参考資料
・ 角田雄亮、平野勝巳、菅野元行、真下清 日本エネルギー学会誌p.876-881(2006)
・ Yusuke KAKUTA,Katsumi HIRANO,Motoyuki SUGANO,and Kiyoshi MASHIMO,Waste management,28,615-621(2008)
・ 小川仁、角田雄亮、菅野元行、平野勝巳、真下清 プラスチックリサイクル化学研究会(FSRJ)討論会予稿集 Vol.11th p.89-90 (2008)



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