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「物質を測る-全元素分析で何が分かる!?」 准教授 森田 孝節

3.得られる情報は?
 得られる情報としてまとめたものが図3です。ここに1つの試料があるとします。まずこの試料には「何が含まれているのか?」を知らなければ何も始まりません。この分析法を「定性分析」といいます。次に「その含まれているものが試料中にどのくらいあるのか?」を知る必要があります。環境問題などでよく目にする「濃度」というものです。これを知るための方法を「定量分析」といいます。また化学物質が試料中でどのような「かたちで存在しているのか?」を知る方法を「構造解析」,その試料がどのような物理的性質を有しているのかを知る方法を「物性分析」といいます。
図3 化学実験で得られる情報
図3 化学実験で得られる情報
4.分析といっても
 すなわち,一言で「分析する」といっても情報を得るための方法ならびに得られる情報は多岐に亘るのです。さらに定量分析では濃度によって%(100分の1)からppt(1兆分の1)に亘ります。この無限の組み合わせの中で試料ならびに目的成分にあった適切な方法を選択しなければなんにもなりません。現在では物理的分析法である「機器分析」が化学物質の分析によく利用されますが,そのまま試料を装置に導入して測定できることは非常にまれです。なぜなら化学物質はご存知のように化学的性質あるいは物理的性質の似たものが多く,これらを完全に分けて測定することができないからです。そのため,試料ならびに目的成分に応じた適切な処置(前処理といいます。)が必要になります。この方法は「化学的方法」が主体であり,どんなに装置が進化しても切り離すことのできないものです。この試料ならびに目的成分にあった適切な試料前処理及び測定方法を選択できる人は広い化学的知識を有している人,すなわち化学者(Chemist ともいいます。特に分析に特化した人をAnalystと呼びます。)でなければなりません。