「物質を泳がせて一気に測定する
~フローシステムを利用したオンライン分析法~」 助手 吉川 賢治
3.4.1 CEによる食品中の有機酸の分析
有機酸は食品の味をつかさどる成分であり、原料由来または発酵過程での生成などにより食品中に存在します。また、食品添加物として添加されることもあり、有機酸分析は食品の品質管理、商品開発、添加量の検査といった分野に応用されています8)。
有機酸の主な分析法として、HPLC、IC、GCといった方法が用いられています。しかし、これらの方法では試料の誘導体化や煩雑な前処理が必要です。そのため、高い分離能を有するCEにより、非誘導体化の有機酸の分析を試みました。分析例は図9に示すとおりです。
図5に示したICによる有機酸のクロマトグラムと比較して、より短時間でより多くの種類の有機酸の分析が可能であることがわかる一方、検出感度には難点があります。CEに関する研究は立ち上げたばかりであるため、今後はさらに詰めた研究を進めていきたいと思います。
有機酸は食品の味をつかさどる成分であり、原料由来または発酵過程での生成などにより食品中に存在します。また、食品添加物として添加されることもあり、有機酸分析は食品の品質管理、商品開発、添加量の検査といった分野に応用されています8)。
有機酸の主な分析法として、HPLC、IC、GCといった方法が用いられています。しかし、これらの方法では試料の誘導体化や煩雑な前処理が必要です。そのため、高い分離能を有するCEにより、非誘導体化の有機酸の分析を試みました。分析例は図9に示すとおりです。
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図9 食品中に含まれている可能性のある有機酸のエレクトロフェログラム |
4.さいごに
流れを利用した多成分同時分析法として、液体クロマトグラフィー及びキャピラリー電気泳動法を中心に幾つかの研究例を紹介しました。この特長を活かして、教育機関内での研究に留まらず、環境、医薬、食品分野等でも大活躍しており、JIS規格にも採用されている例もあります。比較的操作も簡単であり、さほど時間をかけなくてもたちまち立派なアナリストに・・・。分析に関する研究に少しでも興味を抱いた皆さん、ぜひ私と共に新たな一歩を踏み出しませんか?
(参考文献)
(参考文献)
1) | T. Okamoto, A. Isozaki, H. Nagashima:J. Chromatogr. A, 800, 239 (1998). | |
2) | H.Nagashima, T.Okamoto:J. Chromatogr A, 855, 261 (1999). | |
3) | 櫻川昭雄, 中根美紀:分析化学(Bunseki Kagaku), 53, 851 (2004). | |
4) | 吉川賢治,岡村美穂,井口美紀,櫻川 昭雄:分析化学, 54, 1215 (2005). | |
5) | K. Yoshikawa, M. Okamura, M. Inokuchi, A. Sakuragawa:Talanta, 72, 305 (2007). | |
6) | 磯崎昭徳,吉川賢治,長嶋潜:工業用水, 541, 11 (2003). | |
7) | 磯崎昭徳,吉川賢治,長嶋潜:分析化学, 53, 25 (2005). | |
8) | T. Soga, G. A.Ross, J. Chromatogr. A, 837, 231 (1999). |