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「物質を泳がせて一気に測定する
  ~フローシステムを利用したオンライン分析法~」 助手 吉川 賢治

 3.2.2 金属の化学形態別分析
 金属は存在環境によって種々の価数として存在することがあります。例えば、クロムは主に三価と六価として存在するが、毒性が強いのは土壌汚染でもおみの六価です。
 ここでは、生体微量必須元素であると同時に、多量摂取による中毒症例が報告されたことのあるセレンの分析例6)~7)について紹介します。天然水中のセレンは無機態のセレン(Ⅳ)、セレン(Ⅵ)として主に存在しますが、一部は微生物による無機態セレンのメチル化によって生成したジメチルセレノキシド等の有機体としても存在します。
 セレンの定量法には総セレンとしての定量法が多いが、ICでは化学種形態別分析が可能であり、亜セレン酸、セレン酸イオンを分離した後、電気伝導度、紫外吸光等の検出法と組み合わせて検出します。セレンを含む一般的な無機陰イオンのクロマトグラムは図6に示すとおりです。
図6 セレンを含む一般的な無機陰イオンのクロマトグラム
図6 セレンを含む一般的な無機陰イオンのクロマトグラム
 3.2.3 酸化形態の異なる成分の分析
 LCにより、異なる酸化形態をとる成分の分析も可能です。例えば、窒素酸化物に着目すると、窒素に結合する酸素の数によって亜硝酸イオン(NO2-)、硝酸イオン(NO3-)と分類されます。ちなみに、亜硝酸は食品添加物としての用途もあります。