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「物質を泳がせて一気に測定する
  ~フローシステムを利用したオンライン分析法~」 助手 吉川 賢治

1.はじめに
 化学物質は極微量でも環境や生態系、さらに多くの材料に対して著しい影響を与える場合が多く、信頼性のある化学的情報を提供できる分析法に基づいて原因究明をする必要があります。極微量分析法の開発があったからこそ、ダイオキシンや環境ホルモンなどに関する問題も明らかになり、分析化学ならびに計測技術の社会に対する貢献は極めて大きいといっても過言ではありません。
 私が所属する分析化学研究室では、極微量分析に向けて環境への負荷の小さいいろいろな分離、濃縮及び検出法に関する研究を中心に、環境化学的調査や考察にも取り組んでいいます。本章では、「フローシステムを利用したオンライン分析法」に関する研究を中心に紹介します。

2.分析法の分類
 分析化学とは「自然界に存在するあらゆる物質を対象とし、化学的及び物理的な実験操作、解析によって物質の質、量及び存在形態を明らかにする化学の一分野のこと」と説明できます。これを名探偵や名刑事が登場するサスペンスドラマ風に説明すると、「自然界に存在するあらゆる物質を捜査対象とし、化学的及び物理的な実験及び解析に基づいて捜査を行い、得られた状況及び物的証拠から物質の質、量及び存在形態という真実を暴き出す」とも換言できます。
 ここで重要なのは、捜査を行うために必要なツール(分析法)です。「分析法」といってもいくつかに分類され、大まかには以下のように分類されます。
   重量分析:成分の重量に基づいた分析法
   容量分析:成分の容量に基づいた分析法
   機器分析:人間の五感では観測できない物理的測定が必要な分析法
 重量及び容量分析に関しては分析化学関連の講義や学生実験を通じて会得し、研究室内では機器分析法に基づいた研究を中心に行ないます。ちなみに、機器分析は下記の通りにも分類できます。
図1 機器分析の簡単な分類
図1 機器分析の簡単な分類
原子吸光及び原子発光分析法は、その名のとおり光に基づいた分析法です。他方は何らかの流れ(電気的な流れなど)に基づく分析法ということができます。