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「セントラルサイエンスとしての分析化学-分析化学を学ぶ意義-」 教授 櫻川 昭雄

1.分析化学はセントラルサイエンス
 1.1 分析化学のイメージ

 高校の化学の教科書あるいは小・中学校の理科の教科書を見ても、明確に「分析化学」を論じた章は見当たりません。「無機化学」、「有機化学」、「生体科学」や「化学(科学)の理論(物理化学)」を取り扱った章は存在するのに、「分析化学」として章立てして記載されている教科書はないといえます。大学のカリキュラムあるいは科目配置表を見て、初めて「分析化学」という化学の領域が存在するのを認識した人が多いのではないでしょうか。「分析化学」に関連した身近な例を挙げると、高校で勉強したpH(ペーハーではなくピーエイチが正式な呼称)やテレビドラマでお馴染みの警察の鑑識活動などがあります。しかしながら、一般的なイメージは次のように集約できると考えます。
  (1)ものづくりのような達成感がなく、新しい素材の開発のような誰にでもすぐに目に付く具体的な事象が現れにくい。
  (2)手間や隙がかかる割には、商品開発などに比べて高い評価も受け難く目立たない。
  (3)考古学のように限られた情報および手段から、物質(過去)の本来の姿(生活文化)を推測することが中心となるので、好きな人が興味で行っていると他の分野が専門の方からは思われる。