有機応用化学特論Q&A 031107
Q:リン脂質で、R=飽和脂肪酸が多く、R´=不飽和脂肪酸が多いという話でしたが、
例えばR=不飽和でR´=飽和のものであるとすれば、物性に大きな違いがあったり
するのでしょうか?
A:物性にはほとんど違いはありません.
Q:脳はリン脂質が主成分といっていましたがそのほかの成分も脂質でできているのです
か?
A:いえ,リン脂質以外はタンパク質とか糖質が多いと思います.
Q:脂質を摂取すると体内の金属と塩を形成しないのですか?
体にはナトリウムポンプやマグネシウムポンプがありますが関係ないのですか?
A:大部分の脂質はエステルですから,金属塩にはなりませんし,ナトリウムポンプとか
と直接の関係はありません.
Q:グリセリンの重合で出来るポリグリセリンと脂肪酸のエステルは、トリアシルグリセ
ロールと化学的にどのような違いがあるのですか?
A:化学的には分子量の大小という違いだけで,反応性などもほとんど同じです.しかし,
生物にとってはポリグリセリンの脂肪酸エステルは消化できませんから,大違いです
ね.
Q:ろうの話で、みつろうは反応性がないとありますがろうそくはろうが燃えているわけ
ではないのですか? 何が燃えているのですか?
A:反応性が低くても,有機物ですから火をつければ燃えます.
Q:詳しくは分からないのですが、不けん化性脂質の中のステロイドは、薬剤に使われて
いると聞きます。でも、ステロイド以外にも脂質は沢山あるのに、ステロイドのどう
いう部分が薬剤として効果があるのですか?教えてください。
Q:ステロイドはアトピー治療に用いられていますが、近年ステロイドはあまり使わない
方が良いと聞いたことがあります。なぜなのでしょうか?
A:講義でもちょっと話しましたが,ホルモン類はステロイド骨格を持つ化合物が多く,
少量で高い生理活性をもっているからで,副作用も多いようです.
Q:HDLはコレステロールの掃除屋としての働きをしているそうですが、それはHDLとコレ
ステロールが反応して、体によい違う物質に変わるということですか?
どういう状態になることなのでしょうか?
A:HDL 内にコレステロールを取り込んで,体外に排出する働きをします.
Q:LDL(悪玉コレステロール)とHDL(善玉コレステロール)は,それぞれコレステロールを
組織に運んだり,コレステロールを血管の内表面からはぎとり肝臓にもどす物質であ
るが,どちらも体内で生産することができるのでしょうか?
(HDL市販されている善玉コレステロールがはいったオイルなどから多量摂取すること
ができるのですか?善玉コレステロールならいくら摂取しても体に悪影響はないん
ですか?)
A:LDL も HDL も体内で作られます.ですから,分けて食べるわけにはいきません.
Q:自然界には脂肪酸のトランス型はあまり発見されていませんがなぜトランス型は少な
いのでしょうか?
A:生体内の脂肪酸が不飽和であるのは、常温で液状にして組織を柔らかく保つためです。
そのためにはtrans体よりもcis体の方が融点を下げる効果が大きく有利なので、そう
いう方向に進化したのでしょう。
Q:脂肪酸の塩はセッケンだということですが、脂肪酸のナトリウム塩がhard sorpでカリ
ウム塩はsoft soapといいますよね。そのhardてsoftとはどのような分け方をしている
のでしょうか?
A:いわゆる石鹸がhard sorpで,softはペースト状です.
Q:油分と脂肪分の違いがいまいちつかめません。大まかに言ってどう違うんですか教えて
ください。
A:「油」というと鉱物性のものも含みます.
Q:リセプター機構とは具体的にどのようなものなんですか?
A:具体的にはタンパク質です.しくみは調べましょう.
Q:ほとんどの脂肪酸は直鎖なんですが、直鎖でない脂肪酸も存在するのですか?またそれ
にはどういった物があるのですか
Q:脂肪酸の炭素鎖が枝別れ構造をとっている例としてはどんなのがあるんですか?
A:微量ですが,生体内には鎖の途中にメチル基がついた脂肪酸も存在しています.
Q:さて、質問なのですが、油は、触媒の存在下で分子内の二重結合に水素を付加すること
によって固形脂肪になるとありましたが、触媒にはどのようなものを用いているのでしょ
うか?
A:よく使われるのはニッケル触媒です.
Q:膜内在性タンパク質を取り出すには、どのような方法がありますか?
A:適当な溶媒に溶かして抽出でしょう.
Q:動物脂と植物油の融点の違いは構造によると言われましたが、動物脂は高い融点の構造を
持ち、植物油は低い融点の構造を持つ理由を教えてください。
A:植物油の方が二重結合を持った脂肪酸の含有率が高いからです.
Q:動脈硬化のなりやすさに個人差があるのはなぜですか?
A:遺伝です.
Q:脂肪についてなんですが、俗に言う中性脂肪が増えすぎると動脈硬化を引き起こすといわ
れていますが中性脂肪はコレステロールとは違うものなんですか?
A:中性脂肪はいわゆる油脂でトリアシルグリセロールです.
Q:脂肪酸には飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があるわけですが、不飽和脂肪酸については、二重
結合を持つためにcis-trans異性体が存在すると思います。それらも同じものとして扱うの
ですか?
A:当然違うものとして扱います.天然の脂肪酸中の二重結合はほとんど cis です.
Q:n‐3とn‐6の脂肪酸をバランス良く取ることが体に良いと言っていましたが、なぜ二重結
合の位置の違いが人体への影響の要因となるのですか。
A:n-3 と n-6 は代謝経路が違うからだと言われていますが,(たぶん)詳細は不明です.
Q:脂質は日常生活の中で、どのような役割を果たしているのか具体的に教えください。
A:毎日食べてますよね.
Q:天然の脂肪酸の炭素鎖に枝分かれ構造がほとんど無いのはなぜですか。それと不飽和結合の
量をヨウ素によって測定するのはなぜですか。
A:生合成の過程で炭素が2個づつまっすぐついていくからです.
不飽和度は二重結合にヨウ素を付加させて測定します.
Q:授業のプリントで6歳の少女の動脈が60歳の男性のもののように硬化してしまったというとこ
ろで疑問に感じたことなのですが、コレステロールには善玉と悪玉があると思いますが、血
液硬化に関与しているのはどちらなのでしょうか。
A:その名の通り悪玉ですが,コレステロール自体が違うわけではありません.HDL と LDL に
ついて調べてみましょう.
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