工化会名誉会長
(物質応用化学科主任)
教授 西宮 伸幸
リーマンショックから1年が経過した2009年の第四四半期(10-12月),米国の素材大手の業績回復に企業差が出ているという。デュポンが4.4億ドル,コーニングが7.4億ドルの黒字を出した一方,電炉最大手のヌーコアは黒字に転じたものの売上げは29%減,USスチールは2.7億ドルの赤字となった。化学が元気だという見方もあるが,アジア太平洋へいち早く進出した前二者の戦略が奏功したと言うべきだろう。
化学とグローバル,これを時代のキイワードととらえれば,本年5月の日本経団連の次期会長人事も合点がいく。住友化学会長の米倉弘昌氏は,中東・石油メジャーを中心に広い海外人脈を持ち,シンガポールやサウジアラビアで石油化学コンビナートを展開した実績を持つ。
物質応用化学科の入試状況も好調で,推薦入試の志願者は増加,一般A入試の偏差値は2年続けて上昇,本年のA入試志願者は3割増などとなっている。地球環境問題で世の中が化学に注目していることが背景にあるのかもしれないが,工化会をはじめとする桜門出身の諸氏が陰に陽に学校を支えてくださっている力が大きく作用していることは疑い無い。
昨年の5月,工化会の59氏の出席を得て開催された通常総会において,学科創設70周年記念基金の運営に関する議案が承認されるとともに,学科創設80周年に向けて支援を継続・強化していく合意がなされた。委任状364名を含めた合計423名の総意に基づく方針は頼もしくもあり,かつ重い。
この総会の議を経て、博士後期課程の学生への支援金給付(若手研究者支援事業),推薦入試で博士前期課程へ進学する学生から選抜された成績優秀者への奨学金給付(奨学生支援事業)および難度の高い資格試験に合格した学生への奨励賞授与(奨励賞授与事業)の三つの記念事業がスタートし,インセンティブを目に見える形で与えられるようになった。物質応用化学科への入口の状況が好調に推移している今,これら三事業の活用とたゆまぬ改革の継続により,出口のレベルを高め,社会の重心をになう人材を輩出する使命を果し,輝かしい80周年を現出させたい。労を惜しまない日大人こそがグローバルに求められていると確信する。
学科創設80周年に向けて