物質応用化学科創設70周年記念事業
多くの卒業生から母校物質応用化学科の発展のためにと記念基金が寄せられ,その主旨を次の3分野,@在校生が安心して学べる奨学金,A若手研究者への支援,B目標に向い日夜努力してきた学生への奨励金,と具体化して平成21年度より事業を開始致しました。
@の「奨学金」は記念基金活動のなかで最大の目玉であります。物質応用化学専攻(博士前期過程)に推薦入学を許可された研究意欲の高い学生に対して80万円が支給され,これにより国立大学並みの学費で学ぶことができます。第1回給付対象者として4年次生の中野春奈さん,仲村良信君の2名が選出され,09年度工化会通常総会において給付金授与式が行われました。Aの「若手研究者への支援」として,課程を修了する新博士には各10万円を支給しており今年度は赤澤寛行君,諏訪和也君の2名が対象となりました。新研究者として社会へ羽ばたく準備に大いに活用してほしいと願います。
Bの「奨励金」につきましては現在応募申請受付中であり,詳細は別途報告申し上げます。
尚,今年度の事業計画としましては役員会(平成22年4月17日),通常総会(平成21年5月15日)の開催,例年のとおり講演会の開催(理工学部校友会後援),およびオープンカレッジ,一日体験化学教室,など種々の後援事業を行います。加えて平成21年度より新規事業として立ち上げた工化会主催講演会開催および工化会賞授与にさらに力を入れます。今年度の工化会主催講演会は第1回5月8日,小笠原守人氏,第2回12月11日,安達昭郎氏,第3回2月26日(予定)原幹夫氏に講師をお願い致しました。工化会OBの貴重な話を聞けるとのことで参加者はのべ500名を越えました。また工化会賞受賞者につきましても30余名の候補者を予定しており,これらの取り組みを通じて卒在校生の絆がさらに強化されることを期待します。
大学の危機と工化会の役割
さて今,大学は試練の時を迎えております。18歳人口は92年の205万人をピークにして毎年平均3%という勢いで減少して来ました。近年120万人で歯止めはかかるとは言え志願者数が4割も減っているにもかわらず大学の数は逆に増えており再編,淘汰は避けられない状況と言われています。加えて入学率に目を転じると1990年代初期には70%程度であったものが2007年度は90%と全入に近い状態であり,中には学生が集まらず募集停止に追い込まれている大学も1,2ではありません(週間ダイアモンド2009/10/31号抜粋引用)。有体にいえば大学の質が落ちているのです。
物質応用化学科においても同様の問題が指摘されており,当然学科側も種々施策を実行しているとは言え,在学生にもその危機意識が浸透しているかが気になるところです。御茶ノ水駅近辺は学生数で群を抜くものの今や本屋はなく楽器屋ばかりが目につく有様です。この大学の質の低下については志願者のレベルアップは言うまでも無く,在校生の基礎学力,知識レベルを上げることが求められます。大学と学生の双方の努力が上手くかみ合った端的な現れの1つがどのような会社に就職したかであり,大学のレベルは学生の就職内容にあるといっても過言ではありません。我が学科もこの視点に立ち目指すべき具体的な目標,工程表に沿った積極的な行動が不可欠ではないでしょうか。幸いなことに物質応用化学科は,環境,エネルギーなどの修復が明確な課題となることが追い風となり,数年前より偏差値と就職率の上昇が見られるとのことです。理工学部を牽引して行かなければとの危機意識の浸透が進んでいる証左と言えます。我が工化会はそのような環境下,資金的援助のみならず更にどのようなことが出来るかを皆さんと共に考え,行動に移して行きたいと思います。
工化会会長あいさつ
工化会会長 関口 優紀
(昭和48年工業化学科卒)