工化会会長 藤池 誠治
この度、部会長清永弘興氏が平成15年1月3日にご逝去され急遽私が総会までの部会長代理として任務を任されました。前任の清永氏には謹んでお悔やみ申し上げます。5月の総会にて部会長として今年度の活動を行うことになりましたが身の引き締まる出発となりました。
さて、学校を取り巻く環境も多少経済に明るい光が見え隠れする中、多少好転のきざしも感じられる今日この頃ですが、イラク問題がいつも話題から離れず先行きの見通しが誰にも判断できない状況で、我々が過去に経験のない世界が広がっています。
昨年はNOx(廃ガス)規制の問題が東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県で10月末を期限として古い自動車(ディーゼル)が走れなくなりました。この排ガス規制の法律の施行は自動車メーカー、運送業界にとっては大変大きな事件であり、環境問題を抜きにしては考えられない事例の一つであります。これからは地球環境を損なわず社会に貢献出来る仕事、企業が大きく見直される時代となりました。まさしく化学技術の出番であります。
昨年11月21日第3回産学技術交流会(化学)2003年が開催されました。「バイオ&バイオミメティックスの化学と応用技術」と題し現在本学が取り組んでいる生体計測、遺伝子工学、生理活性分子、生体適合材料、バイオマスなどに関する研究成果を紹介したいと考え、新装の日本大学理工学部駿河台校舎1号館CSTホールにて開催いたしました。
基調講演には、京都大学大学院農学研究科教授であります大東肇氏をお招きして「機能性食品科学の最近の動行」−ガン予防食品因子を例として−について時代にマッチした大変興味のある格調高いご講演をまた活発な質疑応答にも対応していただきました。引き続き特別講演として今話題の会社(株)島津製作所に勤務している川畑慎一郎主任による「マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析法の開発と生体計測への応用」の講演をノーベル賞受賞の田中さんとの研究仲間であることを含めて楽しいお話を聞かせていただきました。また、本学の研究発表も行われました。一般企業の多数の参加とパネル展示等も行われ産学連携の重要性が確認でき、また懇親会の場に於いても意見交換の活発な場となりました。物質応用化学科だけが独自で行っているこの産学交流もこれから本学全体の動きに発展し、日本大学理工学部の認知をさらに高めれば、継続していく意義は大きなものと言えるでしょう。
これからも工化会が、益々その力を育み化学に関心のある学生の育成と大学各々の研究室の発展の為に少しでも貢献できる様努力したいと思っています。