有機応用化学特論Q&A 021206


Q:なぜ陸上の動物の中で、生きた植物のセルロースを食べて自力で消化できる   ものがいないのですか?セルロースは多糖類だから分解されればいい栄養に   なると思うのですが・・・。 A:でんぷんが簡単に得られる環境で,より分解しにくいセルロースを分解する   代謝系を維持するのは経済的ではないので,そういう進化をしなかったのだ   と思います.
Q:遺伝子の異常を治す、遺伝子治療で実際に効果が確認されたものはあるので   しょうか。それで色盲を治せるのでしょうか。 A:あると思いますが,色盲は治せないでしょう.治せる可能性はあるかもしれ   ませんが,治療法の開発は生死にかかわる病気が優先されるでしょうし.
Q:質問です。地球上の多くの生物の生体内(体液など)のpHは一般的に7付近だ   と言われています。たとえば、その生物や細菌の体外のpHが弱酸性やアルカ   リ性だとしても、生体内のpHは中性付近だと言われています。なぜ中性付近   なのでしょうか?  A:水素イオン濃度を保つ仕組みが生体膜にあるのでしょう.   どうして中性なのかは生物が誕生した環境が中性だったからでしょうね.
Q:tRNAがコドンを読み取るときに読み違いが起こることはありますか?   もしそうなったら、どのような影響が考えられますか? A:当然ある確率で間違えます.エラーを修正する仕組みもあるようですが,修   正しきれなかった場合,タンパク質の重要な部分がエラーになると,役に立   たないタンパク質ができます.重要でない部分の場合はなにも起こりません.   ごく稀には有害なあるいは新しい機能を持ったタンパク質が誕生するかも.
Q:細胞分裂の時、切り離されるテロメアは細胞の分裂回数を記録しており、分   裂ごとに短くなっていきます。そして、テロメアがなくなることでその細胞   は寿命を迎え、細胞の死となるそうです。分子的にはどうやってテロメアに   より細胞の寿命を決め、細胞は死んでいくのですか? A:今さかんに研究が行われているテーマでしょう.
Q:ある授業で三共の主任研究員のお話が聞く機会がありました。そのお話とは   体内で薬がどの様に効いているのかというものでした。   体内に薬などが入ると体は異物として捕らえ、体から無毒化するために代謝   を活発に行うみたいなんです。この代謝の過程で複雑な薬の構造が主に酸化   されて色々と分解されて行くらしいのです。この酸化をさせているのが酵素   らしいのですが、この酵素は位置特異性があり、定まった所以外の部分を攻   撃(酸化)しないんです。通常、化学的に酸化させるとうまく行かなかった   り、他の部分まで酸化させてしまいます。どうして酵素は位置特異性を持っ   ているのでしょうか?なぜ、分子内に同じ官能基を持っていても末端の官能   基のみ反応したりするのでしょうか? A:酵素が基質を捕捉すると,基質の特定の部位に酵素の活性中心が接近して反   応を起こします.従って同じ官能基があっても活性中心から離れている場合   には反応が起こりません.
Q:タンパク質が加水分解すると、アミノ酸になりますが、加水分解する時の具   体的な条件を教えて下さい。   例えば、この前は5.7規定の塩酸で、110℃で10時間加熱し、アミノ酸分析に   かけると、アンモニアが大量発生していました。以前、1規定の塩酸で100℃   で3時間加熱した時は、アミノ酸のピークがあまり見られませんでした。 A:実際の反応条件は文献を見てください.   (タンパク質の分解なんてやったことないし・・・ ^^;)
Q:分子生物学とはどのような学問なんでしょうか?   今になって講義を聴けばよかったと後悔しています・・・ A:「生物学」の1分野ですから,目的が生物の働きの解明です.生化学も対象   は同じですが,目的が反応や物性である点が違います.
Q:一級アルコールの酸化はアルデヒドを経てカルボン酸になり、二級アルコー   ルではケトンになりますが、これがヒトの場合では一級アルコール(エタノー   ルですが)では代謝されますが、二級ではどうなのでしょうか。例えば、2−   ブタノールを酸化するとアセトンになりますが、この場合には代謝すること   ができるのでしょうか。 A:たぶんそのような代謝系を生物はもっていないでしょう.   1級アルコールでもエタノール以外は代謝できませんよね.メタノールとか.
Q:DNAは4つのアミノ酸の配列により形成されていて、そのそれぞれの構造は特   定されている。では体内には様々な代謝などをする酵素などの物質があるが   これらの物質について構造や生体内での作用は現在どの程度特定されている   のですか。もし、不完全であるなら新薬などの研究であらたな代謝が現在に   おいても発見されているのですか。   また、生体物質の完全な解析とはどのような方法を用いて、如何なる状況に   至った時を指すのですか。 A:「4つのアミノ酸」ではなくて「4つの有機塩基」ですね.   体内の反応についていえば特定されている方が少ないと思います.   分子構造が分かればとりあえず「完全な解析」でしょう.
Q:パソコンを購入するのなら、どこに注目して買うべきですか? A:人にアドバイスするならよく言われるように「目的」によりますよね.メー   カーも重要です.   個人的にはデザインですね.
Q:タンパク質の構造解析はどのように行われるのですか? A:1次構造はシーケンスを自動的に決定する装置があります.高次構造はX線   とかですね.
Q:今回ノーベル化学賞を受賞した田中さんはソフトイオン化法という分子量が   1万くらいでも温和にイオン化できる方法を発見して受賞したらしいですが,   発見以前はどのようにたんぱく質の分子量をもとめていたのですか? A:分子量を求める方法はたくさんあります.物化実験を思い出しましょう.   田中さんの業績は分子量が求められるようになったことではなくて,タンパ   ク質分子を壊さずにイオン化する方法を開発して質量分析をできるようにし   たことです.
Q:分子にはD-体とL-体があり、片方のみが体内で毒性を示すのですが、それは   なぜですか? A:「片方のみが毒性を示すものもある」ですね.   その分子の作用を受ける生体内の分子も片方のみだからです.
Q:ATPがリン酸が3個なのはなぜですか。4個とか5個とかじゃないのはなぜで   すか?多くつながっていたほうがエネルギーも多くもてると思うんですけど。 A:きっと生物が進化の過程で3個くらいが適当だったからでしょう.   もしかしたら4つ以上は不安定すぎるのかもしれません.調べてみて分かった   ら教えてください.
Q:酵素精製で、大腸菌にクローニングして精製する方法がありますが、シーケ   ンスのわかっている酵素であればどういうものでもクローニングによって精   製できるのですか? A:をを,専門的な質問ですね.全然わかりません.   たぶんシーケンスの長さには制限があるでしょうし,使用可能な制限酵素の   によっても条件が限られると思います.
Q:RNAでできている酵素であるリボザイムなんですが、タンパク質ではないとい   うことで、この酵素の活性中心とかはどういう構造になっているんでしょう   か? A:タンパク質でなくとも反応を起こさせるのに必要な官能基が適切な配置でそ   ろっていれば活性中心として働くでしょう.
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