有機応用化学特論Q&A 021115


Q:審査員は依頼を受け企業を審査を審査するとおっしゃられていましたが、審査員   を職業としてるのか、それとも副業という形で行っているのでしょうか。   主任審査員が審査員チームを組み、審査には経験分野を持つ審査員が一人は必要   とおっしゃられていましたが、メンバーは審査の対象によって異なるのですか。   もしくは基本的には、ほぼ固定のメンバーで多少流動的に決めるのでしょうか。 Q:ISO審査員の方の報酬は、いくらなのでしょうか?副業としてなさっている感じを   受けたのですが。 Q:ISOの資格をとったら、その仕事だけで生活することはできるのですか。 A:基本的に審査員を本業としている人は(特に主任審査員)たくさんいます。   その場合,多くは独立(自営)して審査やコンサルタント活動を行っており,そ   れだけで生活している人もたくさんいます。中にはかなり稼ぐ人もいるようです   よ。   また,企業に所属している人の多くは審査員というよりも自社がIOSを取得するた   めや内部監査をするためにISOの知識を有している人材が必要なので資格を組織か   ら言われてとった人が多いようです。審査員チームの構成ですが,メンバーはそ   の時々により異なります。
Q:9001と14001の審査員の資格の共通部分は、少しはあるのでしょうか?   例えば、9001を持っていれば14001の講習を受けなくてよいなど優遇されたりし   ないのでしょうか? A:「ISO9001」は品質管理に関する規定で,「ISO14001」は環境に関する規定であり   別の規格です。したがって,今のところ9001と14001の両方の審査員になるために   は,別々に研修を受けてそれぞれ合格しなければなりません。
Q:ISOの”製品ごとではなく、つくっている企業全体の評価をする”という考え方   がとてもおもしろいと思いました。考えたのはどこの国の人なんでしょうか? A:ISOとは国際標準化機構という組織の略名であり,各国の同一部門の規格を統一   するために1947年に設立されました。   「ISO9001」はその組織が付けた番号で,「品質マネジメントシステム」につい   ての規格です。   ISOにおける国際規格の作成作業は通常,特定の課題の専門委員会を設置し,そ   の課題に関心のある各国加盟団体はそれぞれの専門委員会に代表を派遣できます。   なのでどこの国の人というより各国の代表によって審議され決定します。また,   国際規格の制定を審議する際には、しばしば既にある各国の規格を元にして作成   されることがあり,「ISO9001」に関してはイギリスの国家規格を元に作成され,   1987年に初版が発行されました。その後1994年に第二版が発行,さらに2000年に   全面改訂され現行の規格は「ISO9001:2000」といわれております。   詳しくはhttp://www.jab.or.jp/mas/mas_i90_01.htmlを参考にして下さい。
Q:ISOの審査員になるために審査員研修機関に5日間ほど講習に行かなければならな   いという話がありましたが,もし,今働いている場合,その間会社はどうするの   でしょうか.一般的に会社はこのような資格(?)をとる場合,何かのケアをし   てくれる制度等があるのでしょうか.実際,松崎さんはどうされたのでしょうか? A:ISOの審査員を本業としている人のほとんどは独立して経営しています。   企業に所属している人の多くはその会社がISOを取得するなどのためにISOの知識   を有している人が必要となり会社の業務命令で研修を受けている人がほとんどで   す。   もちろんその場合は研修費用は企業が出してくれます。また,少数ですが自身の   知識を高めるためや独立しようとしている人は有給休暇を使って研修を受けてい   る人もいます。が,その場合費用は個人で負担です。   ちなみに私の場合は所属していた組織がISOのコンサルタント業務を始める事にな   り業務命令として資格をとりました。
Q:ISOの取得は企業の契約を取るのに所有していると大きな強みになるし、取れな   い場合契約の打ち切りにもつながると言いますが、他にも、企業の所持しておき   たい資格(化成品業界で主に医薬、食品以外)のうち、個人として取得できる難関   な資格で現在の私たちで受験資格のあるものはありますか。 Q:就職するときに重宝?される資格とか教えてください。先生は以前弁理士などが   いいと言っていましたね。他にありますか? Q:資格についての質問です。自分はこれから危険物取扱者の資格をとろうと思って   います。先生の経験上、学生のうちにとっておいたほうがためになると思うもの   を教えて下さい。   ふと思ったのですが、この前のISO審査員の試験では5日間の勉強で試験に受   からなかったらどうなってしまうのでしょうか? A:学生のうちに取得した方が良い資格と言う事ですが,実際将来どのような職業に   つくかで必要なものは異なってくると思います。   なので何を取得しておいた方が良いかというよりは自分が将来やりたい仕事に必   要な資格を取得した方が良いと思います。   ただ資格というのはほとんどが専門的な分野なのでどの業種でも共通する資格と   いうのは事務的なものなどになってしまうでしょうね。   就職に有利な資格というよりは,就職してからその仕事に必要な資格を取得する   という場合の方が実際は多いのではないでしょうか。   危険物取扱者は化学系の企業に就職希望の人はもちろん,そうでない人も折角化   学を専攻しているので取得していて損はないと思います。   5日間のISO審査員研修で最終試験に不合格だった場合は,その試験日から6ヶ月以   内ならばもう一度だけ試験を受ける事ができます。   それでも不合格だった場合はもう一度受講料を支払って5日間の研修を受けなけれ   ばなりません。
Q:審査員になるまでにどの位の期間勉強しましたか?   また、監査役の仕事は1年に何回くらい務めるものなのですか? A:勉強した期間ということですが,毎日そればかりしていたわけではありませんが予   備研修なども入れて3ヶ月ほどでしょうか。もちろん個人差はあると思います。   審査回数ですが,審査員を本業としている人は月に20日くらいは審査を行っている   と思います。もちろん報酬もそれなりに頂けます。
Q:最近では、大学キャンパス(大学院)でも環境に対する配慮をなしているとして、   ISO14000番台をとっている所もあると聞きます。そのことは私としては大学経営   においてはなんとなくプラスになるように思えます。(言い方は悪いのですが、   環境に対する取り組みをしっかり行っている所には、お金や人材が集まっていく   気がします。)受験者数の低下、内外からの研究補助金の削減(実話)などもあ   り、今大学経営は危機的状況にあります。   では、ISO14000番台をとるという事は、化学系研究棟がある場合にはどういった   事が必要なのでしょうか?廃液処理等について先生方や先輩から教えてもらった   方法が基本的なマニュアルとなるのでしょうか?また、ISO14000番台をとったと   して、何か特別なメリットがあるのでしょうか?ご回答お願いします。 A:ISO14001は環境マネジメントシステムであり,組織の事業活動の環境への影響を   評価し,重大な項目について,目的・目標・行動計画とその運用を定めた環境版   の「目標管理制度」を示す経営管理システム規格です。ですから環境汚染に直接   影響があるものを削除しようということではありません。実際に取得している業   種は製造業・建設業・サービス業・商社・ソフトウェアハウスなど様々です。   では実際にどんな事をやっているかというと,まず方針を立てます方針は組織全   体のものとしておおまかに「当社は地球温暖化防止のため二酸化炭素排出量の減   少に努める」とします。次にそれぞれの部門ごとに(営業部,設計部,購買部,   製造部,物流部など)具体的な目標を定めます。たとえば「ゴミの排出量を前年   比10%減」「電気使用料金5%減」などとします。そしてさらに詳細な行動計画   「コピー用紙は両面使用する」「使用していない部屋の照明は消す」「エアコン   の設定温度を1℃下げる」などです。で,その具体的な行動計画を文書化してマニュ   アル通り実施できているかを審査します。これがIOSの考え方です。   ご質問の廃液処理方法というのは薬品の取扱い方などすなわち安全面についての   方法のことだと思います。もちろんそれも消防法などにしたがいマニュアル化し   ておかなければISOの取得は出来ません。が,ISOの考え方で廃液を例にあげる場   合,例えば工業化学専攻のおおまかな方針を「公害を出さない」として,研究室   ごとの目標を「当研究室では廃液の量を前月比5%減とする」と定めます。そして,   具体的な行動計画を「溶剤を蒸留して再利用する」「試薬の過剰在庫を置かない」   などとします。そしてその方法を具体的にマニュアル化します。マニュアルの例と   して「何の試薬を何月何日にどれだけ購入したかのチェックリストを付ける」   「一週間に一回試薬棚の在庫量をチェックし試薬リストに使用量及び残量を記入   する」「溶剤を何月何日にどれだけ蒸留したかチェックリストに記入する」「廃   液を捨てる場合何の廃液をいつどれだけ廃棄したかチェックリストに記入する」   などです。マニュアルを作成する場合特に規定はないので法律を犯さない範囲で   自分達が使いやすいマニュアルを作成すればOKです。   ISO14001を取得した場合のメリットですが,これはISO9001とも共通して,上記に   も具体例を出しましたが無駄がなくなるということでコスト削減ができます。ほ   かにもシステム化することにより体質改善ができ社員一人一人の意識改革が実現   できる。対外的にISOを取得しているということで取引先から信用されるなど様々   です。
Q:ISOの規格(ライセンス)をとるのに検査料も含め年間いくらかかるのですか? A:組織がISOの認定を取得する費用と理解して宜しいでしょうか。   これは認定を取得しようとする組織の規模などによってかなり異なってきますの   で一概にはいえません。
Q:isoの9001と9002は何が違うんですか?またisoを導入するとどんなメリットがあ   るんですか? A:実はISO9001とはISO9000シリーズの中の一つの規格です。1994年発行の第二版ま   ではISO9000,9001,9002,9003,9004,19011という六つの規格から成り立って   おりました。が,2000年に全面改訂となり9001,9002及び9003の3規格は単一の   9001に集約され現在9002及び9003はありません。なのでISO9002取得という企業は   2000年以前に取得した企業です。もちろんその企業も9001の2000年版に移行して   いると思います。ISO9000シリーズで実際に審査登録する際の要求規格は9001のみ   です。ですからいろいろなところで「ISO9001取得」というのを見かけるわけです。   ちなみに9000は「用語集(専門用語の辞書)」,9004は「パフォーマンス改善の   指針(9001など要求事項の補足)」及び19011は「監査の指針(監査のやり方)」   でありいずれも認証用の規格ではありません。   取得のメリットは上記を参照ください。
Q:9001や、14001以外にも、物以外を対象とした規格はあるのですか? A:申し訳ありませんがわかりません。   他にもあるかもしれません。
Q:ISOは学校などにも適用されるのですか? A:ISOはどんな業種にも適用されます。もちろん学校も例外ではありません。   しかし,教育機関においてはISO9001よりもISO14001の方が取得数は多いようです。
Q:審査員の登録人数のうち、女性の割合はどのくらいなのでしょうか? A:正確な割合はわかりませんが,全体の数%ではないでしょうか。   残念ながらまだまだ少ないですね。
【以下は深津が答えました】 Q:企業だけでなく様々な状況において、特許関係のスペシャリストというのが弁理   士だというふうに認識しています。今後ますます弁理士の重要性が増していくと   思いますが、弁理士になるには実際どのぐらい難しい試験をパスしなければなら   ないのでしょうか。友人にも弁理士を目指している人がいて、やはり相当難しい   とは聞いていますが・・・。 A:弁理士を目指している卒業生にも来てもらって話をしてもらう予定なので、その   時に聞いてみてください。
Q:生体高分子の中で一番体内に使用されているものは何ですか? A:タンパク質でしょう。
Q:11月8日の授業で植物油は搾り取るのではなく、ヘキサンなどの有機溶媒で抽出   していると先生がおっしゃっていました。   が、その方法を詳しく知りたいのですが、どのようにしているのですか? A:詳しいプロセスは知りませんが、油糧種子(ナタネとか)を粉砕して溶媒と混ぜ、   エバポレーションして分離するのだと思います。   来年度のこの講義は2時限目の予定ですから、工場見学に行きましょうか。
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