有機応用化学特論Q&A 041022
Q:早速今日の質問です。クローンの話で4つに分裂した母細胞を四つの母胎に分けて入
れると一卵性双生児のようになるといっていましたがそれってクローンなのですか?
てことは双子はクローンのようなものなのですか?
A:同じ遺伝子を持つ個体はクローンですから,一卵性双生児はクローンです.
Q:生体内において有用に活動する化合物には,キラルなものが多くあると聞いたことが
あります.その場合,その化合物は,どのようなメカニズムで作り出されるのでしょ
うか?
人工的には,野依先生らが開発した不斉触媒などを用いることで合成が可能ですが,
まさか体内にBINAPがあるわけでもないでしょうし・・・
A:生体内のアミノ酸がほぼL体しかないので,そのL-アミノ酸からなる酵素によって
合成される化合物は当然キラルになります.
Q:授業で体細胞クローンの事をやりましたが、この技術は成功率が非常に低く、体細胞
クローン技術により生まれた牛などは死産等の発生率が高いみたいですが、体細胞の
寿命や分裂回数などが原因なのでしょうか?
A:有名な説によると,DNA末端にあるテロメアと言われる特定のシーケンスの繰り返しが,
細胞分裂のたびに短くなって細胞の寿命を決めているそうです.体細胞はテロメアが
当然短いので,うまく発生しなかったり寿命が短いのだそうです.
が,このテロメアの説を否定する研究者もいて,まだよくわかっていないようです.
Q:問5に関する質問ですが、ここでは呼吸代謝でのATP生産効率について考えていますが、
その生産効率38%というのは本当に正しいのでしょうか。呼吸代謝自身にはエネルギー
は用いられないのでしょうか?
A:当然呼吸代謝系を支えるためには体温を保ったりとかにエネルギーが必要です.しか
直接必要なATPについては,代謝系で消費されるATPも含めて収支は合ってるはずです.
Q:最古の生物がRNAというのは、想像がつきますが、どうやって実証されたのでしょうか?
Q:生命の起源はRNA分子とあったのですが、生命の情報はDNAに記録されており、DNAの情
報はRNAに読み取られるので情報を保持する働きがもともとあるので、少なくともRNAは
DNAの代わりになり、そして起源がRNA情報であったものからRNAよりも安定なDNAに長い
年月をかけて移行していったと考えていいんでしょうか?
質問は↑のものでいいんですが、疑問に思ったので一つ。DNAの情報をRNAが介してタン
パク質が合成されますが、その反応を触媒するタンパク質が必要ですよね。タンパク質
とRNAどっちが先に誕生したんでしょうか?
A:最初の質問はその通りだと思います.情報がDNAに移行する過程でたんぱく質を利用す
るようになり,そのたんぱく質が現在の生物だと考えられます.
触媒(酵素)にたんぱく質が必要ですが,RNAでできた酵素(リボザイム)が発見され
たことによって,RNAのみの自己再生系が最初にできたと考えられました.
Q:小テストの1.についての質問ですが、細胞内の代謝系の異化、同化の内容物を分離する
作用はどのような原理、物質により行われているのですか?
A:それを研究するのが「生化学」という学問ですよね.
Q:自家受粉は、自分の花粉によって種子を形成するというものですが、純系の個体による
自家受粉では自分と全く同じ個体がsできるのでしょうか?(クローンのようなもの?)
A:ええ,自家受粉ではクローンができますが,まれに起こる転写ミスとか,花びらが開い
てからの受粉によって遺伝子のミキシングが起こります.ちなみに性というのは生物学
的には遺伝子のミキシングシステムに他なりません.
Q:良い血統の牛や馬では体細胞クローンの作成がおこなわれていると聞きました が,私た
ちが普段食べている牛肉にもクローン牛が使われたりしているのですか?
A:そのようです.
Q:問題7で、光合成の二つの代謝経路として、明反応と暗反応とあり、呼吸はこの逆反応で
あると説明を受けました。このとき、光合成と呼吸の間にはエネルギー保存は成り立っ
ているのですか?
A:植物の細胞内では光合成と呼吸代謝は独立していますから,エネルギーが保存されるか
どうかというのは意味がありません.なお,トータルで光合成と呼吸代謝がつり合う明
るさでは植物からは酸素も二酸化炭素も放出されません.
Q:生命誕生は約40億年前とありますがそれは何から判断したのでしょうか?年代測定とい
うと炭素の半減期くらいしか知らないので教えてください
Q:地球上に生命が誕生したのは40億年前と前の授業で習いました。これはその年代の地層
になんらかの生物の痕跡を見つけのだと思いますが、どのようにその年代の地層だと特
定するのですか?
A:炭素じゃないかもしれませんが,たぶんアイソトープの半減期だと思います.
Q:地球上の原始生命体は自己複製するRNA分子だったらしいという話ですが、何らかの機構
が働いてそれは蛋白質だったという説は無いんですか?
A:以前は最初はたんぱく質だったと思われていましたし,今もそう考える研究者はいると
思います.
Q:生物学ということで、質問なんですが。最近、有機の分野で人工光合成というものの研
究が進められているんですが、人工光合成はどういったものに将来使われていくのでしょ
うか?
A:研究してる人に聞いてみてください.太陽電池のバリエーションかな.
Q:生体膜のことですが、細胞膜には細胞内に入って来たNaと細胞の外に出て行ったKを交換
するナトリウムポンプってものがあるって高校の時に習ったんですけど、あの絵で言う
とタンパク質の部分のことをさすんですか?
A:その通りです.ポンプの働きをする仕組みが埋め込まれています.
Q:地球になぜ酸素ができたのかというのは、光合成細菌が生まれ、その後、シアノバクテ
リアが生まれ、そこで酸素が発生したと教わったことがあります。酸素が発生し、海の
中の鉄を酸化し、酸化しつくして余った酸素が海面から空気中へと発生したと聞きまし
た。そうだとすると、海中にも空気中にも酸素が存在していると思うのですが、なぜそ
のような状況の中で嫌気性細菌は現在まで存在することができたのかを疑問に思います。
A:そうですね,不思議です.でも最近は従来考えられているよりもかなり地中深くまでい
て,生命の歴史上何度もあった大絶滅を生き残るための遺伝子プールの役割を果たした
ようです.
Q:メンデルの遺伝の法則はどんな遺伝にもあたはまるのでしょうか?
A:いえ,メンデル型の遺伝は基本ですが,あてはまらないものもたくさんあります.1つ
の表現形が複数の遺伝子の組み合わせによるとかの場合です.
Q:遺伝の中立説の本を読んだ時に見かけたのですが、現在用いられている系統樹にはリボ
ソームRNAやミトコンドリアなどを比較して作られているものがありましたが他にはどの
ような種類のものがあるのですか?それとミトコンドリアの系統樹ならばどのようなミ
トコンドリアを基準としてつくられているのですか?
A:昔からある系統樹は生物の形態による分類によるものですが,質問にあるようなミトコ
ンドリアなどの遺伝子レベルの比較による系統樹とは必ずしも一致しないようです.
ミトコンドリアはたぶんいろいろなものはありませんから,「どのような」という質問
は意味がないと思います.
Q:体細胞クローンが出来る確率(別の個体の子宮に細胞を移植して、クローンがしっかり
できる確率)はおよそどの程度でしょうか?
A:正確には知りませんが,かなり低い(数%以下?)だと思います.
Q:約40億年前に誕生したとされている初めての生命はどんな種類で,名前は何というの
でしょうか?たぶん微生物だと思うのですが…。
A:講義で触れましたが,RNA分子だったというのが定説です.名前は知りません.ついて
ないかも.
Q:体細胞クローンの手順は、卵細胞の核を抜いて体細胞にもどしますが、核以外にどんな
ところからクローンができますか??
A:卵細胞の核は捨てて,体細胞の核を入れます.核以外を入れてもクローンはできません.
Q:最近ナノテクノロジーの分野ではDNAに関する研究が盛んに行われてきましたがRNAに関
する研究も行われるようになっているようです。これは単にDNAがメジャーだからRNAに
手を出そうということなのでしょうか?またはRNAの持つ特性からなのでしょうか?
A:RNA の方が不安定ですが,その分反応性が高いからだと思います.生物はそれをうまく
利用しているといえるでしょう.
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