有機応用化学特論Q&A 031017


Q:アルカロイドは動物細胞に対して生理作用を起こすみたいですが、   動物細胞のどのようなところに変化をもたらせるのですか? Q:生物を高校の頃、あまりやってなかったので先週の授業はあまりわ   かりませんでした。   そこで、先週の授業に関することですが、薬用植物に含まれるアル   カロイドは、動物細胞に対して生理作用を起こし医薬品として用い   られているものが多いようですが主に、細胞のどんな部分に、どの   ように働いて生理作用を起こすのですか? A:アルカロイドは有機塩基ですから,核酸や ATP など生体内で重要   な役割を果たしている物質に似ている構造をもつので,代謝に影響   を与えやすいのではないかと思います.
Q:質問はテストの内容で嫌気性の生物がいるということで、糖のアル   コール発酵は酸素なしでATPを合成する代表反応だと思うのですが、   このアルコール発酵により普段飲むようなお酒もつくられていると   思います。いろいろなお酒の種類があると思いますが、こういった   同じアルコール発酵でも違うお酒がつくられるのは何が違うからで   すか? A:エチルアルコールができるという点ではどんなお酒の製造法も同じ   ですよね.いろんな種類の間の差は微量なアミノ酸とか香料の成分   の違いによります.また蒸留酒と醸造酒の違いは発酵させた後の処   理の違いですよね.
Q:光合成を行う場合、H2OよりもH2Sで行う生物が先に発生したと説明   がありましました。それは酸素が硫黄よりも後に生まれ、酸素雰囲   気下でも生きていけるように生物が進化したということですか? A:その通りだと思います.空気中の酸素は光合成する生物によって作   られました.
Q:生物が生まれる時、細胞分裂が起こりその細胞が体の器官(目や心   臓など)に変形していくと思うのですが、クローンを作る場合、細   胞分裂の途中で細胞を摘出してしまったら体の器官に欠陥が生じる   と思いますがどうなのでしょうか? A:細胞の分化が起こるのはかなり分裂が進んでからですから,数回の   分裂後に卵細胞を分けてもちゃんと個体になります.一卵性双生児   が普通はちゃんと五体万足なのと同じです.
Q:遺伝子についてお聞きしたいのですが、遺伝子の中にはそもそも優   秀な遺伝子や劣等な遺伝子などの区別はあるのですか?また、その   ような区別どのように決められているのかを教えてください。 A:順番としては逆で,まず「優秀」と「劣等」とはなにかを決めない   と話が進みません.例えば肥満になりやすい遺伝子はたぶんありま   すが,これは優秀でしょうか劣等でしょうか.デブはもてないから   当然劣等じゃないかと思うかもしれませんが,食料が少ない環境で   は吸収率がよいことは優秀な資質ですよね.有名な話では赤血球が   つぶれている遺伝病があり,これは普通は劣等でしょうが,マラリ   アになりにくいので,そういう環境では優秀です.   ただ,頭がよいとか,病気になりにくいというのは優秀でしょうか   から,まあ一般的な答えとしては Yes でしょうね.
Q:北朝鮮はすごい短期間のうちにクローン開発に成功したといってま   すが、そんな事が本当に可能なのでしょうか? A:不可能でしょう.
Q:嫌気性の生物は酸素がなくても解糖系の内部だけで生じているNADH   を使ってピルビ ン酸を乳酸やエタノールに還元してNAD+を再生して   連続的にグルコースを分解し続け られるが,好気性の生物が酸素が   十分になく,かつNAD+があまりない条件ではとピル ビン酸脱水素酵   素複合体があまり働かなくなり,グルコースをピルビン酸まで分解し   ATPとNADHを生み出す量が減ったり,効率が低下するということがあ   るのでしょうか? A:よくあります.酵母は酸素があると呼吸系で生きますが,酸素が少な   いと解糖系だけで生活します.
Q:問5の問題文に対する質問です。文中に“ATPの1グラム分子は約   7キロカロリーの熱を出してADPになる。”とありますが、生化学   の本ではATPのADP+Piへの加水分解の標準自由エネルギー変化   が−30.5kJ/molとあり、換算すると約7キロカロリーになりま   すが、問題文の“1グラム分子”という記述は“1モルあたり”と同   じ意味なのでしょうか。冒頭の“グルコースの1グラム分子が〜”と   いう記述にも同様な疑問です。 A:1グラム分子というのは1モルと同じです.最近はあまりグラム分子   という言い方はしないようですね.今後は使わないようにします.
Q:問題4の酸素がなくても生きていける理由として、私は発酵によるATP   の生成、硝酸塩呼吸など酸素以外で呼吸しATPを生成することを知って   います。もし、他にもエネルギーを得る方法がありましたら教えてく   ださい。 A:光合成もそうですね.植物には呼吸系もありますが,光が十分にある   環境では明反応で作った ATP だけで生きてるらしいです.
Q:成体の遺伝物質を使ったクローン動物の細胞は、すでに歳をとった状態   にあるのではないかと言うことを聞いたのですが、どういうことでしょ   うか? A:仮説としては DNA の端にあるテロメアという部分が細胞分裂のたびに   短くなっていき,ある回数以上は分裂ができないらしいです.体細胞か   ら作られたクローンは最初から短いので歳をとっている状態という説明   がよくされます.しかし実際に調べてみたらテロメアは短くなかったと   いう報告もあって,まだよく解っていないようです.
Q:よくうちの研究室ではピリジンを使うのですが、ピリジンによって男性   の遺伝子のXY染色体の一部が破壊され、子供が女の子しか生まれなく   なるということを聞きましたが本当ですか? A:よく言われますよね.NMR で磁気にあたるとどうとかも.でもウソです.
Q:ミトコンドリアが独立し、人間の体で色々な事を引き起こす映画があっ   たのですが、本当にそんなことが起こりえるのでしょうか?ミトコンド   リアが独立できうる理由があるのですか? Q:真核生物の細胞中にあるミトコンドリアは別の遺伝子を持っているそう   ですが、ミトコンドリアはそれを細胞内に持つ生物とはまったく別の生   物なのですか? A:「パラサイトイブ」ですよね.僕も小説は読みました.真核細胞の起源   の寄生による共生説にヒントを得た話だと思います.ただ,実際にはミ   トコンドリアは核の DNA のコントロール下にあるので,ミトコンドリア   が独立して生きていけるわけではありません.
Q:よく男性の禿は隔世遺伝と聞きます。人間の遺伝情報はメンデルの優性   の法則により優性、劣性に分別できますが禿はそのどちらかに大別でき   るのですか? A:メンデルが使ったエンドウ豆の遺伝は非常に単純な例で,ほとんどの遺   伝はもっと複雑な因子が絡み合って起こります.禿も単純にどちらかに   分類することはできないと思いますね.
Q:私は今研究で細胞を扱っています。細胞における実験で得られた結果と   同じような結果を生体で期待することは出来るのでしょうか? A:期待はできると思いますが,生体内では細胞間の影響とか複雑ですから   たいていは期待通りにはならないでしょうね.
Q:優性と劣性がありますが,なぜ血液型がO型だと劣性なんでしょうか?   何がどうなれば,劣性になるのでしょうか?   ちなみに自分はO型です. A:劣性というのはそいういう遺伝子があるのではなくて,ある遺伝子が   ない,という意味です.血液型もO型は血液を凝集させる物質がない   ということです.
Q:さて、質問なのですが、先日のテストの5番に、グルコースの燃焼した   ときに得られる熱量が書いてありましたが、食品のカロリー表示は、こ   のようなデータを用いて計算して求めているのですか? A:たぶんそうだと思います.
Q:生体膜には、1つのタンパク質で疎水性の部分と親水性の部分とを持ち、   膜を横ぎって両側に親水性の部分を出し、表側の親水性の部分には糖鎖   をつけているものがありますが、このタンパク質を抽出するにはどのよ   うな方法を用いるのが一般的なんですか? A:ううむ難しい実験の質問ですね.   たぶんまず生体膜を溶媒に溶かしてから,水で洗って抽出するのかなぁ.
Q:鉄分は血液中のヘモグロビン等の働きに必要だということですが、3価   の鉄分じゃないといけないのですか?2価だとなにか不都合があるので   しょうか? A:たぶん生物がたまたま3価の鉄を利用したのでしょうね.正確なことは   専門書を見てください.
Q:普通のCO2を使った光合成とH2Sを使った光合成の場合では同じ代謝過程   を使っているんですか? A:CO2はどんな光合成でも使います.ひょっとしてH2OとH2Sのこと   でしょうか.使う物が違えば当然同じ代謝とは言えないでしょう.
Q:高校で生物を履修していなかったので、あまりよく分からないのですが、   光合成というものを人工でできるようになったら、今太陽電池などの話   をよく聞くのですが、それ以外にも何かメリットのようなものはあるの   ですか? A:要するに効率の問題で,今の太陽電池より光合成の方がはるかに効率が   よいので,エネルギー問題は一挙に解決でしょう.
Q:遺伝子の話になってしまいますが、たとえばコドンとか、セントラルド   グマとか名前の由来がまったくわからない言葉があります。由来はなん   なのでしょうか? A:セントラルドグマはもともとは宗教用語で「中心教義」ですね.コドン   の語源は知りませんが,コードに関係あるんでしょうかねぇ.
Q:生体膜の基本形で、リン脂質が二重膜を形成するとのことでしたが、こ   れはリン酸を含む原子団が親水性で脂肪酸が疎水性であるため、水溶液   中では疎水性グループどうしが内側に並び、親水性グループが外側に並   ぶために二重膜を形成すると考えられますが、核膜を持たない古細菌な   どの生体膜はどのようになっているのでしょうか? A:古細菌には核膜などの細胞内生体膜はありませんが,細胞膜はあります.   古細菌の細胞膜もリン脂質でできていますが,組成はかなり違っていて   エステル結合はなく,エーテル結合を含んでいるそうです.
Q:非常に素朴な質問ですが,エンドウマメの「純系」の定義について,例   えば全てが黄色い豆であればそれは純系なのでしょうか?そもそも,そん   なことが有り得るのでしょうか?純系同士(どちらも黄色い豆をつけるも   の)で交配させた時,その豆は全て黄色くなるのでしょうか?ところどこ   ろに緑色の豆があるように思うのですが・・・?   なにしろ高校時代ですら生物学には触れてきていないものですから,先   週のテストはもちろん,この質問に関してもかなり困りました.もう少   し勉強して出直します. A:黄色い豆同士で交配した場合,緑も出現することはありますが.それは   純系の黄色豆じゃないからです.定義が逆で,必ず黄色になるものを純   系といいます.講義でもちょっと話しましたが,日本人同士の子供に金   髪はいませんから,日本人は黒髪の純系ですよね.
Q:私は脂質の研究を少ししているのですが、生体膜は脂質二分子膜構造を   とっていますが、その外膜と内膜で脂質の組成が違うのはなぜなんです   か? A:外膜と内膜で脂質の組成はやっぱり違うんですか.物質の透過に方向性   があるので当然違うじゃないかなぁと思っていましたが,講義でそうい   う話は僕がしましたっけ? もしそうでなくて,なにか文献とかで読ん   だのならそれを教えてください.
Q:光合成の能力を持たない生物が、ミトコンドリアから得るエネルギー以   外に、どのような形でエネルギーを作りだすのでしょうか? Q:光合成の能力がない生物は、ミトコンドリア以外には何からエネルギー   を得るのですか? A:ミトコンドリアがなくても,解糖系の酵素群があればエネルギーは製産   できます.
Q:ゴルジ体は、どんな働きをする器官なのですか。   あと授業内容とそれほど関係ないのですが、いつ頃かに先生が牛の肉を   食べて、牛の遺伝子を体内に取り入れても、牛にならないのはなぜか、   と言われたと思うのですがその答えはなんだったのですか。 A:ゴルジ体は分泌物や生体膜材料を貯えています.   牛を食べても牛に成らないのは,そのタンパク質や核酸は消化されされ   て分解してから使うからです.
Q:一般的には生物進化は自然淘汰の考え方といわれてますが、例えばヨハ   ンセンのインゲンマメの純系説で自然淘汰説が否定されたりしていたり   してるのであからさまには自然淘汰が正しいとはいえないことになると   いうことは、何か他に生物進化について現在の時点で証明するものはあ   るのですか?あとラマルクの獲得形質は完全に遺伝学ではまちがってい   るのですか?決定的な理由があるなら教えて下さい A:「生物進化について現在の時点で証明するもの」は化石ではダメですか?   獲得形質が遺伝子に影響を与えないのは明らかですよね.ただ全てが遺   伝子で決定されるかどうかという点で問題ですね.
Q:講義の「生物再入門」で光合成についての設問がありました.光合成は   葉緑体で行われています.殆どの植物の葉が緑色に見えるのは色素とし   てクロロフィルを含んでいるからだと思いますが,秋になり,紅葉の季   節となった今,葉は赤や黄色といった色に変化しますよね.色が変化す   るということは葉緑体に何か変化があるのだと思います.葉緑体は秋,   冬においては何か別のモノに変わっているということなんでしょうか.   そして,もし光合成の機能を失っている状態にあったとすれば植物は生   きるためのエネルギー代謝無しで秋から冬にかけて生きている,という   ことになるんでしょうか.   ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□   ヒトの起源についての話もしていましたが,昔漫画でこんな話を知りま   した.   人間の体内時計は24時間でなく(太陽光で24時間に調節していると考えら   れている)25時間弱である.ヒトが発生?する過程で地球に順応した生物   になるためにはヒトの体内時計が地球の自転周期とほぼ同じになる方が   自然である.地球に比べて太陽から少し遠い火星は自転周期が25時間弱   であり,都合よくヒトの体内時計と符合する.   ということから   ヒトの生命はもともと火星で生まれたのではないか,そして火星からの   隕石に氷などに包まれた状態で地球の生命の源流となる生命体が運ばれ   てきたのではないか.   恐らくまだまだ根拠が少ないので信憑性があまりないのかもしれません   けど,そうなのかも知れないな,と久々に感心しました. A:紅葉は葉が枯れてるということですから,光合成はしてないと思います.   ただ,光合成をするものが必ず緑というわけではありません.光合成色   素にはいろいろありますから,緑には見えないものもあります.   自転周期と生命起源の話はなかなか興味深いですが,地球も昔からずっ   と24時間だったわけではないような気がします.また地球上全ての生物   が1日を25時間弱でもないと思います.   まさか,ヒトだけ火星由来なんて説じゃないですよね? 
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