有機応用化学特論Q&A 031010
Q:アルカンでは分子量が増えるにつれ沸点や融点があがっていきましたが、アル
ケンやアルキン、官能基が入ってくると基本的には同じように分子量が増える
につれ沸点や融点が増えるのですか?
Q:アルカンの分子量が増えると沸点、融点が高くなるのは、ファンデルワールス
力によるものだと言われましたが、沸点、融点が高くなる理由に他の要素は関っ
てこないのですか?
また、分子量が同じであっても構造の違いで沸点、融点に変化はないのですか?
Q:8番の問題に対する質問なのですが、アルカンは無極性分子であるので分子が
大きく、表面積が大きいほど電子の分布が変化しやすく、van der Waals力が強
くなり、沸点、融点が高くなるのは理解できたのですが、極性分子の場合にも
このことは当てはまるのですか。
Q:アルカン以外(例えば、アルケンやアルキンなど。)でも分子量が増えるに従っ
て沸点や融点が高くなるものはあるのですか?
Q:アルカンの沸点や融点が分子量の増加により高くなるのはわかりましたが、ア
ルカンに酸素など他の原子が入った場合は沸点や融点はどのように変化するの
ですか?
Q:分子間力にはどんなものがあるんですか?
Q:アルカンの分子量が増えると、沸点や融点が上昇するのは分かりましたが、ア
ルケンやアルキンなどでも同様なのでしょうか?
A:構造がほぼ同じなら分子量が増えるにつれて沸点や融点は上がります。ただし,
官能基や酸素など他の原子が分子中にあって極性が生じると,単に Van der Vaals
力だけではなく,電荷による引力や斥力が働きます
Q:水素には結合手が一本しかないので第一級以外はありえません。先生が言いた
いのは第四級C-H基ではないですか?
A:1級の炭素に結合している水素が1級ですから,2級や3級の水素もあります.
Q:キラルな炭素といえば最近アミノ酸がはやっていますが、必須アミノ酸を摂取
するのならなんとなく理解できるのですが、最近発売されている某歯磨き粉に
「薬用アミノ酸」というものが含まれているらしいのです。無理やりアミノ酸
にしている気がするのですがアミノ酸でなくとも同様の効能は得られるのでは
ないでしょうか?アミノ酸でなくてはならない要素があるのでしょうか?
A:アミノ酸なら深刻な副作用が起きにくいからじゃないでしょうか.
Q:一置換シクロヘキサンの置換基の位置がアキシアルの場合は1,3のアキシア
ル水素がお互いに影響して不安定と言ってましたが、一置換シクロヘキサンの
エクアトリアルの場合は、2,3もしくは5,6のエクアトリアル水素はお互
いに影響して不安定にはならないのですか?
A:分子模型を組んでみると解りますが,1つ置いた(1,3)アキシアル同士より
も隣のエクアトリアル同士の方が遠いので,アキシアルより不安定にはなりま
せん.
Q:シクロヘキサンは1,3-ジアキシアル相互作用による立体ひずみを受け,アキシ
アル 配置よりエクアトリアル配置の方が安定である.このようなエネルギー
差があるなか で,アキシアルとエクアトリアルの位置が入れ替わる環反転は
常に起こっているので すか?
A:常温ならばかなりの速度で常に起こっています.もちろんより安定なエクア
トリアル位の方が多く存在します.
Q:テストの問題中に電気陰性度がでてきましたが、その値はどのような基準で決
められたものなのでしょうか?また電気陰性度の差から極性を生じた場合、結
合軌道のゆがみは生じないのでしょうか?
A:例えばA-B,A-A,B-Bなどの各結合エネルギーの値からなるべく矛盾が
ないように定められました.
極性があれば当然結合軌道はゆがみます.
Q:化学物質の命名法についての問題9.において、正解が3-ethyl-2-methylhexane
となっていましたが、3-isopropylhexaneでも正解ではないでしょうか?
A:iso というは慣用名なので,正式な命名法では使いません.
Q: C―C
例えば| |だとシクロブタンですが下のような構造はなんと命名するのでか?
C―C
C―C―C
| | |
C―C―C
| | |
C―C―C
A:なんていうんでしょうねぇ.命名法の本(化学会から出てたと思います)を読め
ばわかるかも.
文字で分子式を書くのは大変ですね.画像データを添付でもいいですよ.
Q:アレーンはベンゼンを指すのか、何かの化合物中にベンゼン環を含むものを指す
のかどちらですか?
A:後です.
Q:質問なのですが、問題の中でエチレンとプロピレンは天然ガスを熱分解をして作
るが正解でしたが、天然ガスは元々軽質成分が主成分で熱分解をしたらさらに軽
質化が進み、たとえばメタン等になってしまうのではないですか?
A:C4くらいの成分を熱分解して,分離するのだと思います.
Q:椅子型シクロヘキサンは何故アキシアル水素とエクアトリアル水素を同じ数持つ
のか?全てアキシアル又は全てエクアトリアルではいけないのだろうか。
A:分子模型を組んでみましょう.1つの炭素に付く2つの水素は必ずアキシアル水
素とエクアトリアル水素が1つづつです.
Q:分子量が高いもの程、沸点が高くなると考えていましたが、ヘキサンとベンゼン
を比べるとベンゼンの方が分子量が低いのに沸点は高いです。なぜなんでしょう
か?
A:ベンゼンのパイ電子による分子間力が働くからだと思います.
Q:立体化学に関する質問なのですが、マクマリーを読んでみても、シンとアンチが
理解できません。教えていただけますか?
A:ううむ,そう簡単言われても・・・(^^;)
まずシンというのは同じ側,アンチは逆側ですよね.で,どのように付加するか
という時によく出てきますが,ポイントとしては反応中間体がなにか,です.
Q:いす方シクロヘキサンにはアキシアルとエクアトリアルの2種類の結合をもって
いるから,一置換シクロヘキサンには2つの異性体が存在するのかなって考え,
調べてみましたら「室温では,シクロヘキサン環の立体配座が動きやすいから」
一つであるという答えでした.なぜ,立体配座が動きやすと異性体がひとつにな
るのですか?
Q:シクロヘキサンは室温では立体配座が動きやすいのでアキシアル、エクアトリア
ルの環反転を容易にするとありますが、逆に温度変化により立体配座が動きにく
くすることはできるのでしょうか?
A:異性体はあるのですが,室温では常に相互変換しているので,分離できないとい
う意味です.(たぶん)絶対零度近くでは分離可能でしょう.
Q:さて,質問なのですが,前回のテストの2番の選択肢にアスファルトとありまし
たが,その主成分はどのような物質なのでしょうか?
A:「天然に,または石油の蒸留残渣として得られる黒色の固体または半固体で,主成
分は複雑な炭化水素である」(理化学辞典)
Q:アルカンの分岐が増えると、直鎖状のものに比べて表面積が小さくなりvan der
Waals力も小さくなる結果、沸点が低くなるというのは理解出来ましたが、この場
合、融点はどのようになるのでしょうか?
A:アルカンの場合(他もたいてい)は融点も低くなります.
Q:ナフタレンはアレーンが二個ついてできたものとして考えていいのでしょうか?
A:アレーンというのは芳香族炭化水素の総称ですから,ナフタレンはアレーンの1種
です.
Q:いす形シクロヘキサンのエクアトリアル水素は、どの面に対して平行なんですか?
A:炭素の骨格作る6角形の平面に対してですが,全ての炭素が同一平面にあるわけで
はないし,エクアトリアル水素も上下にちょっとズレてますから,「ほぼ」平行と
いうことですね.
Q:立体異性体をほしいほうだけ分離するのはどのようにすればいいのですか?
A:よく使われるのはキラルな充填剤を使った液クロです.
Q:幾何異性体の物理的、化学的ちがいはどのようなとき生じるのですか?
A:物理的には物理化学実験でやったような旋光度とかです.化学的違いはほとんど
ないのですが,幾何異性体どうしだと違いが生じることがあります.
Q:今後も今回の様な確認みたいなプリントやってくれるんですか?
A:テーマによりますけど,なるべくやりたいと思います.
Q:日常,誰しも多くの化学製品を使用していると思います.1つ1つの製品(及び食
品)についての安全性は厚生労働省などによってある程度保障されているのでしょ
うが,2つ以上の製品についての相互作用を考慮した場合の安全性について,厚
生労働省あるいは何らかの調査機関などによって確保されていたりはしないので
しょうか.
例えば,野菜ジュースとタバコを同時に摂取するとき,タバコのみの場合以上に
大きな悪影響を人体に及ぼしたり(秋久先生が去年,講義で教えてくれました.),
ほうれん草とベーコンの組み合わせは体に悪い(確か,テレビでみのもんたが言っ
てました.)というような事例があるそうです.
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
…質問しておきながらも実際には無理だろうと自分で思います.次々と新しい製
品が市場に出回るのに全部チェックするのは膨大な作業になってしまいそうなの
で.1つ1つの製品としての安全性の確保が精一杯ですよね,多分.でも,そう
いったことを調査する機関があればより安心して生活できると思います.
昔映画で「バットマン」という作品を観て,実際はどうなんだろうと疑問でした.
劇中には↓に書いたような場面がありました.
『バットマンの敵が化学に長けていて,日用製品の工場で化学的な細工(映画では
口紅とヘアスプレー)を施す.1つ1つは無害だが,組み合わせて同時期に使用す
ることで使用したヒトが死んでしまう,という設定』
A:ほとんど答えも書いてくれているので,僕が答えることがなくなってしまいまし
た.昔からいう食べ合わせ(ウナギと梅干しはダメとか.でもこれは大丈夫らし
い)みたいですね.組み合わせがどんどん無限に増えていくでしょうが,理論的
にはある程度予想がつくようにも思えます.
またそういった組み合わせによる危険性よりも,古くからあるものでも危険なも
のはいろいろありますね.PCB やアスベストは使用禁止になりましたけど,タバ
コはもし仮に今発見されたとしたら,販売許可は出そうもないですよね.食品に
もそういう例はけっこうあるようですよ.
Q:テストは83点とまあまあの出来でした。間違えたところで、CDを無機物だと勘違
いしていたので、そこについて質問したいのですが。CDは樹脂で出来ているとおっ
しゃってましたが、具体的にどのような樹脂が使われているのですか?また、そ
の樹脂はどのような合成法でつくられているのですか?
A:確かポリカーボネートだったと思います.
「グリコールまたは2価のフェノールにホスゲン(ホスゲン法),あるいは炭酸エステ
ル(エステル交換法)を反応させてつくる.」(理化学辞典)
Q:分子間力(van der Waals力)が働くため高分子量のアルカンの融点や沸点が高くな
るとのことですが、それは層状構造をとっているということですか?ポリマーは層
状構造をとるのですか?
石炭は架橋点で結合した縮合芳香族が層状構造をとっているため見た目より融点が
高いとされています。
A:分子の形によると思います.層状構造になりやすい形ならば予想値よりも融点が高
くなるでしょう.
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